こんにちは、おぎーです。 HITOKUCHI(ヒトクチ)というチョコレートブランドを経営しています。
大学時代にお菓子に目覚め、プロのパティシエが主催するレッスンに通い、造形美を学ぶため生け花を学びましたが、一度も製菓業界で働いたことはありません。
いわゆる素人である僕が、なぜチョコレートが大好きすぎて自分でブランドを立ち上げることになったのか。その背景と想いをきちんと文章に残そうと思い、この記事を書きました。
目次
お菓子を作って喜んでもらう原体験
京都にある同志社大学に通っていました。学生時代は、近くには世界遺産の下鴨神社があり、鴨川まで徒歩圏内の閑静な住宅街の中にある、築50年の男子寮(上記写真)に住んでいました。
2階の廊下でお茶をこぼしたら1階までこぼれ落ちてきたり、学生運動の時に使ったヘルメットとメガホンが未だに保管されていたりと、昭和の苦学生のマンガに出てきそうな、絵に書いたようなおんぼろ木造学生寮でした。
それまでは実家ぐらしだったので料理はほとんどせず、お菓子作りなんてしたことがありませんでした。学生時代はお金もなく、生活費を節約する意味で自炊を始めたくらいで、特に料理に対してもこだわりもありませんでした。
それなのになぜお菓子作りに目覚めたのか?
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これはもう一言で、女子にモテたかったから、です笑。
僕は特にイケメンでもなく、運動も得意ではないので、スクールカースト上位には決してなれないタイプでした。
が、大学時代のバイト先が京都新阪急ホテルで女性が多い職場だったということと、職場のメンバーでホームパーティーをやった時に何を思ったかデザートを作ったらめっちゃ好評だった(何を作ったか覚えてないのが悔やまれる...多分ブラウニーとか)というミラクルが起きて、
また女子に喜んでもらいたい→お菓子を作ってはバイト先に差し入れる→喜ばれる→また作る→また喜ばれる
というループに入り、すっかりお菓子作りにハマってしまいました笑。
お菓子作りのためにお金と時間を全力投球
僕は何かやりたいと思ったら、すぐにやらないと気が済まないタイプです。
そして、一度何かにハマってしまうととことん突き詰めてしまうタイプです(そして飽きるのも早かったりします)。
やっぱ本場のお菓子を食べないと始まらないよな、ということでヨーロッパに2回旅行に行きました。
1回目はフランスを16日間かけて南北縦断、2回目はオーストリアを中心に中欧諸国を21日間かけて回りました。
そのために当時は月15万円くらいバイトで稼いでました。しかも時給750円スタートだったので(京都は時給が安い...!)、時給が割増される早朝と夜間のシフトをうまく交えながら、社員さん並に働いていました。
フランスに行って感じたことは、日本の芸術がとてもフランスの芸術に影響を与えていたということでした。
印象派の絵は浮世絵の影響を受けているし、大好きなアール・ヌーヴォーというジャンルのアートをひたすら巡っていると、その植物モチーフの美の奥に、生け花の美が見えてきました。日本の美の再発見です。アール・ヌーヴォーはこういうやつ↓。ミュシャとかが有名ですね。
パティシエの大会ではピエスモンテという工芸菓子の競技があるのですが、まさに生け花的見た目で、生け花を学べば色彩感覚と造形感覚が磨かれるはず!と思い、専敬流という流派の先生について2年強習いました。
↓ピエスモンテはこういうやつ。バレンタインの時期の百貨店とかで見たことがある方もいらっしゃるかも。
さらに、プロのパティシエさんが開講しているレッスンにも1年間通い、モンブランやシュークリーム、はてはパリ・ブレストのようなちょっとマニアックなお菓子まで一通り作り方を勉強しました。
そして、有名なお菓子屋さんは東京に多かったことから、京都から夜行バスに乗って東京に行き、有名店を食べ歩くみたいな強行ツアーもやっていました。
この辺のお話は、別立てにして記事としてまとめたいと思います。
HITOKUCHIの立ち上げに至るまで
そこまでお菓子作りにハマったにも関わらず、結局パティシエの道には進みませんでした。
製菓業界の方のお話を聞けば聞くほど、体力が無い自分には無理だな...と思えるくらいハードな仕事内容だったのと、熱しやすく冷めやすい性格の影響もあり、ちょっと違うなと思ったのが大きかったように思います。
しかし食の分野には非常に興味が強くなっていたので、一部上場のスーパーマーケット系列の商社に新卒で入社して、食品と日用雑貨を扱う仕事に就きました。
新卒2年目で中国上海に駐在し、雲南省の松茸や台湾マンゴーといった商品調達の仕事を担い、現地法人の立ち上げも経験しました。
その後現地でデジタルマーケティングの専門会社に転職し、ライフスタイル関連のブランドの現地マーケティング支援の仕事を経験しました。
中国ではトータルで8年間仕事をしてきましたが、サプライチェーンとマーケティングの仕事に携わり、ちょうどオンラインでMBAを取得していたことも重なり、自分でB2Cのブランドを立ち上げたいという思いが日に日に強くなっていました。大学時代のお菓子の道が自分の中で不完全燃焼になっていたことも忘れられず、お菓子のブランドを立ち上げようと決意し、2019年6月に本帰国をして東京に引っ越してきました。
大好きなチョコレートをジャンルとして選び、改めてチョコレート専門のレッスンも受講しました。
日本は本当にお菓子がおいしい国です。
すばらしいパティシエさんがたくさんいて、百貨店に行けばおいしいお菓子が選べないほど売っています。バレンタインの時期になると、チョコレート商戦で大盛りあがりです。おいしいお菓子が毎日食べられると、中国時代も一時帰国が毎回楽しみでした。
がしかし、いざ本帰国してみて感じた超絶な違和感。それはマニアックなお菓子トークをできる人が自分の周りにほとんどいなかったことです。
チョコレートのお菓子の中では、僕はボンボンショコラが一番好きですが、友人とボンボンショコラの話をすると「あーあのウイスキーが入ってるやつ?」と平気で返ってくるし、そこでプラリネやらなんやらの話をしようものなら、みんな「???」でした。
あれ?
バレンタインの時期にはあれだけ大量の人がチョコレートを買いに来ているのに、なんで...?
チョコレートのたのしみをライフスタイルにしたい
色々友人たちに話を聞いて、自分でチョコレートを作って販売をしてみて分かったことは、日本の高級チョコレート市場は贈答用市場で、自分のために楽しむライフスタイルの市場になっていないんだな、ということでした。
ボンボンショコラを始めとする高級チョコレートは、日本ではフランスと比べて2〜3倍の価格で売られており、パッケージも贈答用が多く単価が高くてとても日々のたのしみのために買えるような感じには売られていません。
自分へのご褒美チョコレートも流行りましたが、それもたまのハレの日のお菓子で、日常使いにまではなっていません。
さらには、これだけチョコレートが好きな僕ですら、百貨店へ買いに行くと人が多いし、人気のお菓子屋さんは行列ができていたりアクセスが悪かったりして足が遠のきます。コロナの今の状況なら、なおさらですね。
この状況を変えたい。
なんとかして、味や素材にこだわった本格的なチョコレートをもっと身近に楽しんでもらえるようにしたい。
そういう思いで、オフィス販売という徒歩0分で買える利便性の高い方式を取り入れ、食べきりサイズを1個単位でネットでも買うことができるHITOKUCHIブランドを立ち上げ運営しています。コーヒーとのペアリングセットなんかも、今の時期おうち時間をたのしむためにオススメです。
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ブランドや商品の説明は公式サイトに譲るとして、このnoteでは、ブランドの背景にある僕の思いや、フランスや中国で感じた文化やアートのこと、商社時代に経験した食品の調達と安全性、チョコレート作りについてなどを発信していこうと思っています。
おぎー(荻曽 友貴)
HITOKUCHI